「アメリカの大学における学習支援・学生行動調査」(2015/3/20 2014年度第5回アカデミック・リンクセミナーでの発表)
標記セミナーで発表しました。私以外にも千葉大職員が二人発表しました。私の個別タイトルは「どのように学生を知ろうとし、どのように学生を支援しようとしているか-イェール大学、マサチューセッツ大学アマースト校での調査から-」です。既にいくつかの場所で発表したこと+αで考えたこと(アマーストの話を自分でしたのはこれが初めて)ですが、よろしければご覧ください。後日動画もアップロードされるので、公開されたらリンクをはっておきます。
最後のスライドの「私(図書館員)が考える図書館員」の箇所で、学生に見える存在になるのか(ex. Embedded librarianshipのように学生たちがいるところ、学習がおこなわれているところにどこへでも飛んでいく)彼らからは見えなくてもいいのか(ex. 調査に基づいて学生のための環境や資料を整える、彼らが図書館に来なくても=どこにいても資料にアクセスできるようにすることに尽力する)というのはどちらがいいという話ではありませんのでご承知おきください。
学生が何をどのように勉強しているかを知るには?:平成26年度国立大学図書館協会シンポジウムでの発表
1月28日に国大図協のシンポジウム(@名古屋大学附属図書館)で発表してきました。シンポジウムのテーマは「学生の学習活動を促すもの-実践と理念としてのラーニングコモンズ」です。
平成26年度「国立大学図書館協会シンポジウム」開催について|2015年|お知らせ|私立大学図書館協会 Japan Association of Private University Libraries
私は分科会にて「学生が何をどのように勉強しているかを知るには?」というタイトルで発表をしました。Yaleでのインタビューの話がもとになっています。なので以前のこの記事↓と内容的には似ています。
Yaleでのインタビューwith Denise HERSEY 誰のための調査か?:課内報告会にて - nagasakiika
ただ、今回は「学生が何をどのように勉強しているかを知るには?」というお題でしたので、そういう観点から考えを練って発表しました。スライド(発表後加筆したので当日使用したものとは異なります。)を置いておきます。国大図協のHPにも後日掲載されるそうです。
自分の大学の学生のために、大学の一部としての図書館がこれからどう変わっていくべきなのか、それを検討し、実現するための根拠として「学生が(今)何をどのように勉強しているか知る」必要があるという考えを述べました。自分ができているかというとまだまだこれからなので自戒をだいぶこめてというところなのですが、この考え方でしばらくは行こうと思っています。
UMassで見たこと・聞いたこと:図書館という「場」で展開されるいろいろなサービス
遅くなってしまいましたがUMassでの調査についてもまとまった記事を書いておこうと思います。UMassでは朝から晩までみっちりのスケジュールで刺激的な一日でした。時系列にそって見たもの・聞いたことをご紹介します。
ちなみにこれが図書館の全貌。当日は上へ下へと行ったり来たりして、いろいろなサービスや施設を見せていただきました。
【1000-1030 Arrival,setting in】
・今回の調査で案内役を引き受けてくださったSharonさんのオフィスからスタート。オフィスをちょっとのぞかせてもらいました。ここにある学生用の図書はすべてシャロンさんが選書しているとのこと。
【1030-1100 presentation】
・自己紹介がてら、自分の大学図書館について簡単に説明をしました。初英語プレゼンで緊張しました…しかもその前に先方が用意してくれたPCだとパワーポイントが開かず、持ってきていた自前のノートPCをつないで何とか事なきを得ました。嶋田さんのはうまくいっていたのですが…万一に備えて自前PCを持っていてよかったです。
(パワポのタイトルが日本語だからダメなんじゃ…とか言いながら苦戦している場面。このあとなんとか無事にプレゼンできました)
ちなみにプレゼンのなかでCURATOR(千葉大のリポジトリ)の話をしたら、アメリカでも有名だよとのコメントをいただきました。
【1100-1120 Teaching commons(以下TC)】
TCは、副学長より、「図書館に連携の場を作って欲しい」との要請と予算を受けて図書館に設置されたそうです。お話をしてくださったTC担当のKate Freedmanさんによると、図書館はどの分野の人にとっても「中立」の場所であることがポイントとのこと(立地的にも中間といえるそうです)。TCは教員の作業スペースや授業などに関する相談の場所としてひらかれており、様々なサービスが受けられます。特徴的だと思ったのは、弁護士資格を持つ図書館員に、著作権に関する相談(論文執筆やオープンコンテンツ作成に際してなど)ができるというもの。
(説明してくださっているKateさん)
これは今回の調査期間中ずっと感じていたことですが、「図書館員」とひとくちに言っても、日本とはまったく別の職業のように思えるということです。YaleやUMassで出会った「ライブラリアン」と呼ばれる人々は、何かしらの専門分野を持っており、そのうえで図書館というフィールドでその専門性を活かして働いているプロフェッショナル、という印象を受けました。
【1130-1150 Learning Commons(以下LC)】
案内してくださったのはCarol Willさん。LC、ご覧のとおり大変にぎわっていました。
PCデスクは満員。アドビソフトなども入っていて、学生が自分で高額なソフトを買わなくてもよいようにしているそうです。
ライブラリアンに質問できるデスクをはじめ、いろいろなサービスデスク( PCサポート、レファレンス、キャリア・留学サポート)がひとつの空間にあるとのこと。必要になりそうなサポートを集めてワンストップサービスを提供しているとおっしゃっていました。
これは大型ポスターが印刷できるプリンタ。以前は工学部にしかなかったそうですが、要望を受けて設置したそうです。好評とのこと。
【1150 TeamBasedLearning space(以下TBL)】
TBLはチーム学習をとりいれた授業をおこなうための専用の教室です。案内してくださったのはRobert Davis先生。副学長の「make student active!」という声にこたえ、3年かけて作ったとのこと。1テーブルにつき1スクリーン、1ホワイトボードが備えられており、各テーブルの様子が見られるようになっています。ここの環境を使った新しい授業について何人かの教員から提案を出してもらい、実際に授業で使ってもらうといったことをおこなっているそうです。
【1:30-1:50 Learning resource center(以下LRC)】
LRCは主に学部1・2年生を対象としてチュータリングをおこなっています。図書館の中に設置されていますが、図書館の組織ではありません。したがってほかにも学内に活動場所があるとのことですが、主な拠点は図書館とのことです。TCでも言及されていましたが、学内の中心という図書館の立地がポイントだと考えられるそうです。
解説時間帯は13:00から22:00頃までで、学生が多く来るのは夕方とのこと。昨年は延べ人数でなんと約34,000人が訪れたそうで、学生たちに今や必須のサービスとなっていると感じました。ちなみにチューターをつとめるのは学部学生のみ約50人で、これは対象が学部1・2年生なので、彼らにより近い存在をと考慮したためとのことです。
【14:00-14:25 Digital Media Lab(以下DML)】
メディアに関する質問なら何でも受ける施設で、いろいろな機材やスタジオの貸し出しもおこなっているとのことです。授業でビデオ作成の課題が出たりするので、そのために機材をかりに学生がやってくるとのことです。夜10:00まで開放。
3Dプリンタでつくった模型を見せてくださっているところ。3Dプリンタは、まだ本格的に導入されているわけではないが、すでに運用案を提案済みとのこと、学習目的の利用を優先するよう検討しているとのことでした。
【14:35-14:50 Writing Center(以下WC)】
WCはLRCと同様、図書館の組織ではないけれど図書館に設置されています。ここには大学院生・学生のスタッフがおり、ライティングの指導を1対1でおこないます。相談者が持ってきた文章を機械的に修正するのではなく、会話しながら相談者自身の気づきを引き出し、自分のちからで改善していけるように導くということです。そのためスタッフに求められるのは「書き手」としてよりも「話し手」「聞き手」としての資質だそうです。
見学させていただいた時にも多くのセッションがおこなわれていました。どんな風にWCをPRしているか伺ったところ、Facebookなどのwebを使った宣伝に加え、スタッフが授業を訪問してWCについてプレゼンするといった活動もされているそうです。
以上、駆け足でしたがUMassでの模様のレポートでした。26階建ての図書館のあちこちで様々なサービスが展開されている様子を見ることができました。UMassにおいては、キャンパスのなかで立地的にも心理的にも中立の位置にある図書館という場が、大学に欠かせない存在になっていることを感じました。ここには書ききれなかったのですが、このほかにも昼食、お茶、さらには晩御飯までセッティングしていただいており、本当に充実した調査の一日となりました。UMassについても現在追加質問をおこなっているところですので、Yaleとあわせて今後もご報告していきたいと思います。
ということでこの派遣報告ブログはここで一区切りとさせていただこうと思います。また何か思いついたように書くこともあるかもしれませんが…。ご覧いただいた皆様ありがとうございました。
Yaleでのインタビューwith Ms.Emily HORNING and Ms.Sarah TUDESCO:学生のニーズを知り、学生をサポートする方法
Yaleで一番最後におこなったインタビューを紹介します。こちらは利用者調査についてではないのですが、学部生担当のライブラリアンであるMs. Emily HORNING (Director of Undergrad Program, Library Research Education)と、アセスメントライブラリアン(データライブラリアン)であるMs. Sarah TUDESCO (Assessment Librarian, Program Development and Research)にお話をうかがうことができました。
(右がEmilyさん、左がSarahさん。)
お話の中で特に興味深かったのは、次の3点でした。
1学生のニーズにあわせて幅広い機器(ときには犬)を貸し出しするサービス
2アセスメント(データ)ライブラリアン
3パーソナルライブラリアンプログラム
1 Emilyさんが勤務されているBass Libraryは主に学部生向けの図書館で、ここでは図書だけではなくいろいろな機材を貸し出しています。マイク、カメラ、ipad、そしてgoogle glassまで!(2014年2月3日付のCAでもとりあげられていました)
イェール大学図書館、グーグル・グラスを貸出開始 | カレントアウェアネス・ポータル
これらはすべてHPから予約でき、貸し出し状況もひとめでわかるようになっています。学生たちは調査研究のためにここで機材を借りていくとのこと。メディア機器はいつも貸し出し中で、図書よりもよほど使われているとおっしゃっていました。さらには therapy dog(medical school has therapy dog)と呼ばれる犬も貸し出しており、学生のストレスケアのために活躍しているそうです。
2 Sarahさんはアセスメントライブラリアンとして、図書館にかかわる様々なデータを扱い、分析し、ニーズ把握や予算の確保の根拠とする仕事をされているとのことです。例えば貸し出しデータを分析すると、学部生の貸出率は教員や大学院生と比べて明らかに減少していることがわかるといったことからニーズの変化をつかんでいることや、電子リソースの利用状況を見て、論文へのアクセス数やメンテナンスコストを把握しておくことも重要なタスクのひとつ(図書館予算の6割が電子リソースに使われているとのこと)とおっしゃっていました。分析にはMSのAccessやタブローhttp://www.tableausoftware.com/public/などのソフトウェアを使用しているとのことです。ちなみに、1で紹介したような貸し出し機器の予約状況を分析することも現在おこなっている調査のひとつだそうです。
3 学生のニーズにあわせたサービス提供をするためのシステムの一つとして、パーソナルライブラリアンプログラムについて説明していただきました。このプログラムは8年前から続いているとのことで、ライブラリアン一人につき30-40人程度の学生(対象は学部1-2年生)が割り当てられ、学習・研究をサポートするというものです。学生たちがパーソナルライブラリアンにコンタクトをとるきっかけはいくつかあるとのことで、たとえば学生宛に送ったメールに対して反応があったり、教員が「ライブラリアンに相談してみなさい」と促したり、あるいは友人から「役に立った」ときいて来たという学生もいるとのことです。また、新入生に対して図書館主催でおこなうレセプションがあり、そこでお互いに顔をあわせる機会があるそうです。ちなみに会場はBeinecke Rare Book & Manuscript Libraryという貴重書ばかりを収めた図書館です。
遮光のため大理石でできた外壁。この下をくぐるようにして中に入ります。
圧巻の内部。奥の方にみえるのはさきほどの外壁。光が透けて入ってきているのがわかります。
ここがレセプションをおこなう一角。
以上お二人とのインタビューで印象的だった事柄を挙げてみました。これらのサービスをそっくりそのまま真似ることはできませんし、またむやみに真似ることに意味は無いと思いますが、いかに学生らのニーズを把握し、実際のサービスに落とし込んでいくのか、そのプロセスや手法を知ることが、自分たちの大学で個別に取り組んでいく際の指針となると感じました。
今回の派遣結果については、今後いくつかの場所や媒体で発表する予定でいます。また現在、インタビューでききとれなかったことや、調査結果をまとめているなかで疑問に思った点について、改めて先方に追加質問をおこなっているところです。さらに充実した報告をお届けできるようにがんばります。お楽しみに。
Yaleでのインタビューwith Ms.Emily FERRIGNO:学生と一緒に学生のニーズ調査をする
Yaleではもう二つ、インタビューをしてきました。(別記事で続けて投稿します)
Music Library(以下ML)のライブラリアンであるMs.Emily FERRIGNO (Library Services Assistant)に、MLでおこなった調査についてお話を伺いました。MLは、音楽を学ぶ大学院生(School of Music, Institute of Sacred Music, Music Departmentに所属する学生)へのサポートをおこなっており、今回紹介して下さったのは、School of Music(以下SoM) http://music.yale.edu/study/degrees-programs/の学生(3つの中で最も規模が大きいグループ)に対しておこなわれた調査です。
手法はDeniseさんのケースと同様、インタビューでした。ただし、外部から人類学の専門家をよんでレクチャーを受けたDeniseさんらのケースと違い、こちらはEmilyさんがethnomusicologyのPhDを取得しており方法論を心得ていたため、自身がリーダーとなり、インタビュアーとなった学生を指導して、調査をすすめていったとのこと。具体的な方法や結果は次のとおりです。
【調査の目的】
・MLはSoMに必要な存在になることを目指しており、そのためには学生がふだんどのように大学生活をおくっているか、そのなかでMLをどのように使っているか(あるいは使っていないか)、彼らについての情報が必要だと考えたため。また、Emilyさん個人としても、学生が図書館に何を求めているのか知りたかったとのこと。
【方法】
・インタビューは質問紙(※)にしたがって口頭でおこなわれ、対象はSoMの学生約200人中40人、謝礼としてロゴ入りのイヤホンがおくられました。インタビュアーもSoMの学生のなかから、Emilyが3人を選んだそうです。
(※)質問紙の内容は、たとえば次のような項目です。
-Yaleでの一日の行動は?時系列で書いてください←もっとも重要なポイント
-MLに来て何をしていますか?
-指導教員はMLにあるリソースを利用するよう促しますか?
-つぎのMLのリソースのうち、どれが最も役に立ちますか?
【結果】
・学生たちはあまりMLを使っていないとの結果でした。彼らは基本的に忙しく、またMLには楽器を演奏する場所もなく、スコアを印刷する機械もないことが理由だそうです。学生がMLを使うとしたら、スコアをブラウズして借りる程度で、滞在はしないとのこと。彼らはむしろSoMのラウンジでくつろいでいることが多いということが明らかになったそうです。
【結果を受けて今後の予定】
・結果を受けて、新たなサービスを始めること、また既存のサービスの修正をおこなうことを計画している(あるいは既に実施している)とのことでした。たとえば、MLの2階にあった音楽関連の雑誌があまり使われていないことがわかったのですが、それらを1階に移動させたところ、学生たちはその存在に気がつき、手にとって見るようになったとのことです。また、ML内にもラウンジのようなスペースを準備しているところとおっしゃっていました。その他学生を図書館にひっぱってくるのではなく、図書館員自身がSoMに出向いてリソースの紹介などをおこなうEmbedded librarianshipの実施もされるとのことです。
【雑感】
・インタビューのなかでEmilyさんは、こうしたインタビューを通して、学生をひとつのcultureとしてとらえ、理解しようと努力すべきであること、彼らがふだんどんな行動をしているか、どんなふうに調査研究をおこなっているのか、図書館をどのようにとらえているのか明らかにし、それを受けてMLとして何をすべきか考える必要があるとおっしゃっていました。
・私はインタビュアーもSoMの学生だったというのはひとつの重要なポイントだと思いました。お互いSoMの学生なので、インタビューが比較的スムーズに進むこと、調査に学生の視点がはいること(質問項目の作成から関わったとのこと)、学生自身が新しい経験を積む機会になるということ、この調査をきっかけに今後のつながりができること、など、図書館員以外の立場の人と協力することの利点を感じました。
Yaleでのインタビューwith Denise HERSEY 誰のための調査か?:課内報告会にて
先日10/29(水)の課内報告会にて、海外派遣について発表をしました。すべてをお話しすることはできなかったので、今回はYaleでのDeniseさんとのインタビューのことにしぼって説明をしました。
私の今回の渡航の目的は、おもに学生のニーズを知るための利用者調査について、その詳しい手法や、結果をどのように活用しているか、具体的な例について学ぶことでした。千葉大学ではプロジェクトの一つとして、学生を対象とした調査をおこなっています。(詳細はアカデミック・リンク・セミナー2013年度第5回「学生たちは新しい学習環境をどのように使い、どのように学んでいるのか」を参照ください。http://alc.chiba-u.jp/seminar/report2013_05.html)私もそのメンバーの一人として、千葉大学学生がどのように学習をしているか、インタビュー調査をおこないました。現在は分析結果をまとめている最中です。
Deniseとのインタビュー(約一時間半)から私が思ったのは、次の2点でした。
①図書館員がこうした調査を行う際に最も重要な点は、調査の最終目的は「図書館」の改善ではなく、自大学の「学生」や「教員」の学習や研究環境の向上。
②調査結果を受けて何かを変えようとするとき、学生や教員の行動を変えようとするのではなく、図書館が変わるべき。
つまり、調査すべきは学生や教員が普段どこでどのように学習、研究、調査活動をおこなっているかという活動そのものであり、それを前提としたうえで図書館(員)としてすべきことを考え、実際に行動する根拠とする必要があるということでした。
調査内容については以下のスライド(課内報告で使用したものから抜粋)をご参照ください(※なお、現在まとめたインタビュー結果をもとに、あらためて内容確認のお願いをしようと準備しているところです。誤りがあった場合は適宜修正していきます。そのため完全な内容ではないこと、あくまで参考としてご覧いただきたいことをご承知おきください)。
追ってほかのインタビューやUMassでの見聞もブログに書いていく予定です。今回はひとまずここまで。
乗り継ぎに失敗しました(解決済み)&帰国しました
皆さんこんにちは。谷です。ご報告が遅くなりましたが、私も嶋田さん同様、なんとか無事帰国(10/11に)いたしました。報告が遅くなったのは、タイトルにもあるように現地で乗り継ぎに失敗し、やむなくもう一日滞在することになったからです。
全日程が終了したその日の朝、嶋田さんは私よりも早い便で帰国されるため、乗り換えの駅でお別れ。私は空港に行くまでまだ少し時間があったので、メトロに乗ってボストン美術館に向かいました。
メトロの車窓から。地下鉄と言っても途中から外に出るタイプ。
ボストン美術館。約1時間ほどしか滞在できませんでしたが、目当てのJamie Wyethを見られたので満足。
…とここまでは良かったのですが。
私はボストン-シカゴ-成田というルートを使ったのですが、このボストン-シカゴ間の飛行機が一時間ほど遅延し、シカゴのオヘア空港に到着したときには成田行きの便は無情にも飛び立っていたのでした…。航空会社のカスタマーサポートコーナーに行って事情を話し、次の便はいつか尋ねると「Tomorrow」との回答。がーん。チケットは振り替えてくれましたが、宿泊先は「ここに電話して近くの宿をあたれ。これを見せると宿泊料金が割引になるから」と電話番号付きのクーポンを渡されました。要は私のような人のために空港最寄りのホテルを捜して予約してくれるサービスなのですが、自力か…という感じでした。この時点で夜7時過ぎ。しかし途方に暮れていても仕方ないので電話をかけました。
ところが空港の電波状況(あるいは私のガラケーの性能)がよくないのか、2回続けて通信が途絶える事態が発生。2回ともホテルを提示してもらうところまでいったのに…と心が折れそうになる私でしたが、3回目でなんとか成功。しかも結局空港内にHilton Hotelがあったというオチ。(先の2回の人々は空港外の全く違うホテルをアナウンスしてきたので、結果的にはこれでよかったのですが)
一応最上階。外はシカゴ(というかほぼ空港)の夜景。
翌朝は遅れることなく無事に飛行機は飛び立ち、約13時間後成田に到着しました。心底ほっとしました。
今回の一件で学んだのは、海外では可能な限り直行便を使う(嶋田さんはきちんと直行便を選択されていました…)こと、しかし不測の事態が起きても臆せず対応すれば解決できるのだということでした。正直「Tomorrow」と言われたあの瞬間は絶望的な気分だったのですが、わからないことはわかるまで質問し、自分が何をすればよいのか理解し、つとめて冷静に行動すればなんとかなることを学びました。とはいえもう2度とごめんですが…。